2023サイクリングコース推奨ブック【特典ページ】~目黒川編~
~目黒を江戸の行楽地とした目黒川を辿る~
品川区上大崎の自転車文化センターを出発して、急坂の行人坂を下り目黒川に架かる太鼓橋(2.江戸悲恋物語八百屋お七の足跡を辿るコースでも取り上げている)を渡り、目黒不動方面に参ります。
【太鼓橋】

本編にありました瀧泉寺(目黒不動)と蛸薬師の成就院や、岩屋弁天の蟠竜寺を廻り、目黒寄生虫館を見学しそこで目黒通りへ出ます。目黒寄生虫館前あたりの目黒通りが金毘羅坂になりますので、今は無き高幢寺の金毘羅権現に思いを馳せ、その道を目黒川方向に行けば大鳥神社です。大鳥神社に参詣の後一旦目黒川を新目黒橋で渡り、川沿いの道を上流(中目黒方面)へ遡ります。
川は上流から下流(川の流れの方向)を眺めたとき、右側を右岸、左側を左岸と呼んでいますので、先ずは左岸の川沿いの道を通り、目黒川の始点である北沢川と烏山川が世田谷区三宿2丁目1の付近で合流し東仲橋を目指して走ります。
新目黒橋から上流の左岸には、田道広場公園を過ぎると目黒清掃工場や陸上自衛隊の目黒駐屯地があり、その先に中目黒公園があります。東京共済病院を過ぎて、対岸に目黒川舟入場を眺めて、中目黒駅の高架をくぐります。川沿いの道を遡上すると山手通りに突き当たりますので、ここを渡った先の首都高速の大橋ジャンクション天空庭園で休憩し国道246号線を渡った先の目黒川は急に川幅が狭まり、緑道となります。この緑道は自転車レーンと歩行者レーンが分かれているため、必ず自転車レーンを走りましょう。東仲橋の上流約70m付近が北沢川と烏山川の合流点であり、目黒川起点の標識があります。
【大橋ジャンクション天空公園/駐輪場もあります】

【目黒川舟入場】

この地点からUターンをして再び目黒川沿いを今度は下ります。国道246号線を渡るまでは同じ道を戻り、目黒川の右岸沿いの道を走ります。南部橋のたもとにはシアトルが本拠地の世界的コーヒーチェーンのスターバックスリザーブロースタリー東京があり、休日には入場整理券が出るほどの賑わいをみせています。中目黒駅付近で右手から蛇崩川との合流点があり、「合流点の遊び場」の緑地になっておりますが、自転車の乗り入れは禁止されています。またこの先の皀樹橋(さいかちばし)の先で右岸沿いの道が通行止めになるので、右折して山手通りに出て左折します。ほどなく目黒川舟入場が見えますが、ここが品川からの舟で運んだ物資の荷下ろし場です。
【スターバックスリザーブロースタリー東京】

【合流点の遊び場】


山手通りを進行して、階段状の特徴のあるスタンレー電気本社ビルがある中目黒3丁目交差点で山手通りを渡りその裏手にあるめぐろ歴史資料館に寄りましょう。目黒の歴史についての展示や資料館では体験学習や目黒の歴史について資料の閲覧で調べることができます。
山手通りを中目黒2丁目の交差点で渡り、田道庚申通りから新茶屋坂通り中里橋から再び目黒川沿いを走ります。ふれあい橋のたもとには目黒区民センターがあり、美術館では地元ゆかりの作品展やカフェが併設されています。この目黒区民センター周辺の緑地が谷戸前川と目黒川の合流地点と言われています。左岸側からだと建物が迫っていて確認し辛いですが、現在地の右岸側からだと対岸、左岸奥が高台となっていて、目黒川の河岸段丘が顕著に確認できます。
最初に目黒川の河筋に出た行人坂下の太鼓橋を過ぎて対岸に雅叙園を見ながら走り都道418号線と国道1号線桜田通りを渡ります。五反田駅付近でJR線の線路をくぐり、目黒川はここから一旦山手線の内側を流れます。居木橋の交差点で迂回してきた都道418号線を再び渡りますが、その先右岸の川沿いに道がないので、道なりに進行します。
東海道新幹線などの線路をくぐり抜け、山手線の外に出てから線路沿いに目黒川へ戻ります。三嶽橋付近は江戸末期に薩摩から孟宗竹を移入栽培し、目黒川沿いは筍の産地として有名になり三竹耕地と呼ばれていました。余談ですが、江戸後期に品川、目黒を中心に栽培が盛んだった筍を模した「たけのこせんべい」が品川橋から旧東海道を2kmほど下った立会川の大黒屋で名物として売られています。
【三嶽橋】

三嶽橋から東海道本線の鉄道をくぐり抜けて、要津橋から先は旧東海道が近いことから川沿いに寺社が多くなります。京浜急行線の新馬場駅舎下をくぐり、荏原神社の参道として朱塗りの欄干が目を引く鎮守橋を過ぎて、旧東海道の品川橋で目黒川を渡ります。
【品川橋】

現在の目黒川河口付近には、天王洲運河と京浜運河の二つの運河に合流しています。以前は両運河ともに開削されておらず、江戸時代の絵図に由れば旧東海道品川宿にかかる品川橋下流の北浜三社稲荷付近で大きく左へ湾曲して北上し東海道に沿って流れ、北品川橋の東で東京湾に注いでいました。
現在は目黒川右岸側からその痕跡を辿ることができませんので、昭和橋の先で東品川ミッフィー公園から天王洲運河をアイル橋で渡り対岸の天王洲公園から目黒川水門を河口としようと思います。
【ミッフィー公園】

目黒への帰路はアイル橋を渡り返して海岸通りの昭和橋を渡り、目黒川の左岸側に出ます。恐らく目黒川の川筋があったであろうと推測される新品川橋のたもとにある北浜三社神社の北浜の注意書きに、旧目黒川の川筋がなぎさ通り沿いにあり、境橋(現在の品川橋)付近から北に向かうと記載されております。記載のなぎさ通とは現在の八ツ山通と思われ、この道筋が旧目黒川だったと思われます。八ツ山通りを北上すると約700mで品川浦の船溜まりがあり、これが旧目黒川の痕跡になると思われます。現在の品川浦は屋形船や釣り船が多く舳先を並べておりますが、その昔は「御菜肴八ケ浦」と言われ、水揚げされた海産物を江戸城に納める漁村に指定されており、海苔の主要な産地でもありました。品川浦から旧東海道に出て目黒川の品川橋に戻り、左岸河筋を遡上します。鎮守橋のたもとにある荏原神社を参詣し、京急線をくぐり、国道15号線(第一京浜)を渡ります。左岸沿いには子供の森公園、小関公園、御成橋公園、五反田ふれあい水辺広場などの休憩ポイントがありますし、五反田駅近くの大崎橋には公衆トイレも川沿いにあります。国道1号線と都道418号線を渡り、再び目黒行人坂下の太鼓橋に戻りますが、時間に余裕があるならば、ホテル雅叙園東京の東京都指定有形文化財の百段階段を見学しましょう。また太鼓橋と雅叙園前のお七の井戸、行人坂の大圓寺は本誌の2.江戸悲恋物語八百屋お七の足跡を辿るで取り上げている舞台でもあります。行人坂の急坂を登り自転車文化センターにゴールします。
【五反田ふれあい水辺広場】

【行人坂】
